卒業式という特別な日は、誰にとっても感情が揺れ動く時間です。これまでの思い出がよみがえったり、大切な人との別れが迫ったりと、胸がいっぱいになる瞬間がいくつも訪れます。
特に、繊細な感性をもつHSPさんにとっては、この「区切りの日」が大きなストレスや疲労につながってしまうこともあります。泣いている友人の姿に強く影響されたり、周囲の空気に敏感になったりして、気づけば自分の気持ちがいっぱいいっぱいに。
この記事では、HSP学生さんが卒業式の日を少しでも穏やかに過ごすための心構えや過ごし方をご紹介します。敏感さを否定せず、自然な自分でいられる卒業の日を迎えましょう。
(そもそもHSPとは何か知りたい方は「HSPとは」の記事をお読みください)
卒業式にまつわるHSPさん特有の悩みとは
卒業式といえば、華やかで感動的な場面を思い浮かべる人も多いかもしれません。でも、HSPさんにとっては、その一つひとつの出来事が心の負担になってしまうことがあります。
HSP学生さんが卒業式で抱えやすい悩みとして、次のようなものがあります。
- 泣いている友人を見て、自分も感情があふれてしまう
- 会場の人の多さや音に圧倒されて疲れてしまう
- 周囲の空気を敏感に感じ取り、「自分も明るく振る舞わなきゃ」と無理してしまう
- 「別れ」に対する不安感や喪失感が人一倍強く出てしまう
- 写真撮影や会話の場面が苦手で、うまく馴染めない
このように、卒業式はHSPさんにとって精神的にも身体的にも負担が大きくなりやすい場面です。でも、それは「気が弱いから」や「コミュニケーションが苦手だから」ではなく、あなたの感受性が豊かで、細やかな心を持っているからこその反応です。
感情が揺さぶられる理由を知るだけでラクになる
卒業式の日に自分の感情が大きく動いてしまうのは、HSPさんにとって自然なことです。なぜなら、HSPさんは環境や人の気持ちにとても敏感で、周囲の影響を強く受けやすい傾向があるからです。
たとえば、
- 友人の涙を見ると「自分も悲しい」と強く感じる
- 会場の緊張感や雰囲気に圧倒されてしまう
- 周囲の「楽しまなきゃ」「泣くべき」といった空気を無意識に察して合わせようとしてしまう
こうした感情の揺れがあるのは当然のことであり、それに戸惑う必要はありません。むしろ、HSPさんの感性が正しく反応している証ともいえます。
また、「泣いてしまう自分」「疲れてしまう自分」を責める必要はまったくありません。感受性が強いからこそ味わえる感動や優しさもあります。揺れ動く心を否定せず、「こう感じていいんだ」と認めるだけでも気持ちがスッと軽くなることがあります。
HSP学生さんが卒業式を少しでも穏やかに過ごすための工夫
感情が揺れやすいHSPさんにとって、卒業式を無理なく過ごすためのちょっとした工夫があります。完璧を目指すのではなく、自分らしくいることを大切にしてください。
1. 前日は心と身体の準備を
- 睡眠をしっかりとる
- 好きな音楽やリラックスできる香りで心を落ち着ける
- 気持ちがざわつく場合は、ノートに書き出して整理してみる
2. 自分だけの「クールダウン時間」を設ける
- 式の前後に数分でも一人になれる時間をつくる
- トイレ休憩のタイミングなどを利用して、人の少ない場所で深呼吸
3. 会場では「安心アイテム」を用意する
- ハンカチや小さなぬいぐるみ、アロマスティックなど、落ち着けるものをカバンにしのばせる
- お守りのような存在で安心感を得られる
4. 「自分を責めない」意識をもつ
- 感情がこみ上げて泣いてしまってもOK
- 疲れてしまったら、無理にみんなと同じように行動しなくても大丈夫
- 他人と比べる必要はありません
これらの工夫はほんの一例です。自分に合うスタイルを見つけておくことで、「卒業式=つらい日」ではなく、「自分らしく過ごせる日」に近づいていきます。
無理に思い出を作ろうとしなくても大丈夫
卒業式といえば、記念写真やお別れの挨拶、クラスメートとの交流など「思い出づくり」が中心になる時間でもあります。しかし、HSPさんにとってはそういった時間が負担になることも少なくありません。
- 写真を撮るのが苦手
- 友人との会話に気を使いすぎて疲れる
- 賑やかな雰囲気が落ち着かない
そんなときは、「みんなと同じように楽しめない自分」を責めなくてもいいのです。無理に思い出を作ろうとしなくても、あなたの中にある小さな記憶や感情が、すでにかけがえのないものになっています。
卒業式を「特別な1日にしなければ」と思うほど、気持ちにプレッシャーがかかってしまいます。自分の感情を大切にしながら、自分なりの卒業式を過ごせば、それで十分なのです。
卒業式が終わった後のケアも大切に
HSPさんは、イベント後にぐったりと疲れを感じやすい傾向があります。卒業式という一大イベントのあとは、感情やエネルギーが大きく消耗していることが多いので、しっかりとした「自分ケア」の時間を確保しましょう。
- 卒業式のあと、予定を詰めすぎない
- 家でゆっくり過ごす時間を意識的につくる
- ノートや日記にその日の気持ちを書いて、整理する
- 信頼できる家族や友人に、今日の出来事や感じたことを話す
感情を外に出すことは、心を落ち着けるうえでも大切です。言葉にすることで、「自分がどんなふうに卒業を感じたのか」がはっきり見えてきます。
まとめ|HSPさんらしく卒業式を迎えるために
卒業式は、多くの人にとって節目となる特別な日です。でも、HSPさんにとっては、人の感情や空気を深く受け取ってしまうからこそ、しんどく感じてしまうこともあります。
その敏感さを否定するのではなく、「私らしい卒業式の過ごし方」を選んでください。
- 感情が揺れるのは自然なこと
- 無理に盛り上がらなくてもいい
- 周囲と違っても、自分に優しくしてあげることが大切
どうか、卒業という節目の日を、自分らしく、穏やかに迎えられますように。HSPさんの心が少しでも軽くなり、未来への一歩をあたたかく踏み出せることを願っています。

月に1回メールマガジン配信中!繊細だからこそ丁寧な暮らしを。